報告:Encoding and decoding traditional architectural styles

昨日,ハンスマイヤーさんを交えた研究会が行われました.
会の様子を簡単に纏めます.

ヴィラ鴨川の入り口.建物にドイツらしく?きっちりと鍵がかかっていて,彼を呼び出すのに苦労しました.

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左から,ハンスマイヤーさん,通訳を担当していただいた東洋設計事務所の女性の方(すいません,お名前聞きそびれました),プレゼンターの齋藤さんと吉田先生.

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参加者のショット.メインゲストのほかに,鈴木広隆先生(神戸大)安福健祐先生(阪大), Zoja Veide先生 (Riga Technical University,ラトビア),満田さん(満田衛資構造計画研究所),それに関西在住の学生さんや社会人の方が出席されました.
この時期,京大では学会等が多くて部屋の確保が以外と難しく会議室を使用したため,企画会議のような雰囲気.

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プレゼンテーションの概要

吉田先生
・京都の町家に関する歴史と関連する研究
・絢爛豪華な建物→何度かの大火→規格化された復興住宅としてのはじまり(簡素なつくりへ)
・京都の一番の中心部は3度の大火にあったので、中心部に現代に残る町家の歴史は最長でも150年程度
・歴史的景観の破壊等.
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齋藤さん
・機械学習手法により,「伝統的な」ファサードの構成ルールを抽出する試み.(研究例
・京都市内の景観規制を考慮した大規模建築の設計例の紹介.
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ハンスマイヤーさん
・これまでの一連の作品に関するプレゼンテーション.
・ファブリケーション技術の紹介.
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主な論点

Q.ハンスマイヤーさんの形態形成方法は,単純な幾何学的な操作の繰り返しであるが,それで何故西洋建築の意匠のような意図的な形態が生み出されるのか?

形態形成ルール自体は決定論的だが,いくつか異なるパラメータを持たせた案を作って,人間が選択・交配させることで解を進化させているらしい.概念的には,対話型遺伝的アルゴリズムのような方法を使っているみたいです(この文献では,交配までは確認出来ませんでしたので私の勘違いかもしれません.)
西洋の建築様式は細分化されているが,彼の方法はそれらを一般化?しているという点で興味深い(by倉方先生).
バリエーションを生成する(より高次な)システムに着目するのが,コンピュテーショナル・アプローチの基本的な考え方なので,この指摘は的を得ています.

Q. 彼の方法は,複雑な西洋の古典建築の意匠の生成には向いているが,シンプルな日本の建築様式のモデル化には向かないのでは?

吉田先生から,日本(京都)でも複雑で絢爛豪華な建築様式を有していた時代があったとの指摘がありました.さらに倉方先生から,現在も東日本のいくつかの寺院等にその傾向が見られるとのコメントがありました.さらに建築本体ではなく,欄間の彫刻や関連する民芸品的なアイテムに着目すれば,複雑性の高い造形はたくさんあることも指摘されました.
こうしたものを設計対象にすれば,彼の方法やセンスが素直に活かせるのではというコメントが,ハンスマイヤーさんにとって,大きな収穫になったのではないかと思います.

Q. 装飾的な形態の意義・合理性をどう考えるか(美濃部さん,満田さん)

視点からの距離によって,形態の見え方や表情が異なる点が,これまでの一般的な意匠とは異なると考えている.また,現在は主に意匠的な面に着目しており,3Dプリンティングで実現可能な程度の検討を行っている段階.本格的な建築的な合理性の担保は今後の課題.

Q. 誰(何)が形態を(伝統的と)評価するのか?伝統的という言葉のもつ曖昧さ

齋藤さんのファサード構成規則の獲得モデルでは,複数人のアンケート結果をもとに,機械学習によって帰納的に評価ルールが得られるしくみとなっています.また,ハンスマイヤーさんの場合も,生成方法は大分違いますが,やはり人為的に解の評価を行っています.いずれにしても,評価プロセスに人が何らかの形で介入する必要があります.
一般的な機械学習のアプローチでは,事前に細かな特徴量を明示的に抽出しておく必要があります(エンコード).しかしこの種のアプローチでは,ここがボトル・ネックになります.どういうことかというと,モデル開発者の想像する特徴量にモデル・ルールが制約されるので,新しいデザインを生成する(デコード)時に,飛躍した案がなかなか出てきにくい原因となりえます.ところが最近,Deep learningと呼ばれる機械学習手法が注目されており,これを使うことで特徴量の抽出が非明示化・自動化され,より現実的なモデルが構築できる可能性が出てきました.

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アルゴリズミック・デザインでは,建築の表象デザインの計算モデル化も大きなターゲットです.
今回紹介された,伝統的なルールベースのアプローチと,ハンスマイヤーさんの単純なプロセスによる創発的なアプローチ,いずれも今後も発展可能性があることを確認しました.

以上の私の纏めには,誤解や穴が大分ありますので,コメント等で補足していただけると幸いです.
参加された全ての皆様と,ハンスマイヤーさんを紹介していただいた豊田さんに感謝します.

以下は,懇親会と,その後の魚谷さん主催のexcursion(京大吉田寮night tour)です.
京大には10年間いましたが,ここは怖くて近寄ったことはありませんでした.

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Tak

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